お知らせ

  • 2014年4月25日 (金)新ブログに移行しました。
フォト
2016年9月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

最近のトラックバック

« 【治療事例】定期的なDFPPの長期継続によって過粘稠度症候群をcontrolしている原発性マクログロブリン血症の1例 | トップページ | 【雑感】いろんなバイアス~成功者の自伝は成功者にしか書けない~ »

2009年8月29日 (土)

【情報】「原発性マクログロブリン血症とは」最新?版

大阪市立大学血液内科様ご提供の血液疾患解説>WHO分類-リンパ系腫瘍(2008)より抜粋

 よく見かける「原発性マクログロブリン血症とは」の解説記事は,4,5年前時点での情報が多く,それ以降の研究が反映されていなかったりします。
 予備知識のない者が読んでもちんぷんかんぷんということは置いといて,これは,日本語で読めるWeb情報としては,現時点で最新のものではないでしょうか。ほかにいい情報があったら,おしえてね。

 情報はgive and take!

--原文は参考文献へのリンク付きなので,英語が読める方にはそちらをお勧めします---
*Lymphoplasmacytic lymphoma(リンパ形質細胞性リンパ腫)
 Waldenstrom's marcroglobulinemia(Waldenstromマクログロブリン血症)
 リンパ形質細胞性リンパ腫(lymphoplasmacytic lymphoma、LPL)とWaldenstromマクログロブリン血症(Waldenstrom's marcroglobulinemia、WM)はWHO分類では同一の項目に並列して挙げられています。WMでは腫瘍細胞は通常骨髄で増殖しますが、リンパ節、脾臓、肝臓に高頻度に浸潤し、末梢血にも出現することがあります。臨床症状としては肝脾腫(15-20%)、リンパ節腫大(15%)が認められます。
 LPL/WMの腫瘍細胞は小型のBリンパ球であり、様々な程度に形質細胞あるいは形質細胞様リンパ球への分化傾向を示します(すべて同一クローンであると考えられます)。 表面マーカー解析では表面免疫グロブリンはIgMを発現し、時にIgDを同時に発現しています。表面免疫グロブリン軽鎖はκかλどちらかに偏っています。CD19、CD20、CD22、CD79などの汎B細胞マーカーを発現し、時にCD11c、CD25、FMC7も陽性の場合があります。CD5、CD23は通常陰性(10~20%で陽性)であり、慢性リンパ性白血病との鑑別に役立ちます。形質細胞への分化傾向が強い場合にはCD138が陽性、CD20が陰性となります。リンパ節においてはリンパ洞を残しながら腫瘍細胞は濾胞間にびまん性に増殖し、偽濾胞を形成せずに進展します。腫瘍細胞は小リンパ球、形質細胞様のリンパ球ないしは形質細胞で、Dutcher bodyと呼ばれるPAS染色陽性の核内封入体を有することがあります。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫へ進展することも報告されています。現在のところ、LPL/WMに頻度が高い染色体異常として6番染色体長腕(6q)の欠失が報告されていますが、その病態的意義は明らかではありません。6q-例は進行が早く生存期間が短いと報告されています。
 臨床像としては大量のIgM(3g/dl以上)のため、過粘稠症候群を起こします(10-30%)。赤血球凝集に伴って、視力障害(ソーセージ様眼底)や脳血管障害が合併します。自己免疫疾患の合併も起こり、クリオグロブリン血症、末梢神経障害(ミエリンに対する抗体活性によりミエリンが融解)、Mタンパクの変性物沈着によるアミロイドーシスを合併することもあります。多発性骨髄腫とは異なり、IgM以外の免疫グロブリンの抑制は軽度です。IgMが3000 mg/dl未満、骨髄中の異常細胞の割合が10%未満で特に症状のない場合をIgM monoclonal gammapathy of undetermined significance(MGUS)と呼ばれますが、他のMGUSと比較すると進行しやすく、年に1-5%がLPL/WMに移行します。
 臨床経過は緩徐であり、全生存中央値は5年以上です。臨床症状としては過粘稠症候群(10-30%の症例)が見られ、赤血球凝集のために視力障害(ソーセージ様眼底)、脳血管障害を生じることがあります。Mタンパクが自己抗体としての活性を有する場合にはクリオグロブリン血症、末梢神経障害(ミエリンに対する抗体活性)が生じます。その他としてアミロイドーシス、凝固障害・出血症状(Mタンパクが凝固因子、フィブリン、血小板と結合)を合併することがあります。死因としては原病の悪化、悪性度の高いリンパ腫への進展、感染、治療による二次性白血病が挙げられます。予後をスコアリングシステムで評価する報告も見られます。international prognostic scoring systemでは①血小板10万以下、②β2マイクログロブリン3μg/ml以上、③ IgM 7,000 mg/dl以上を予後不良因子として、5年生存率を算出するとスコア0、1が87%、2で68%、3-5で36%と報告されています。その他の予後不良因子として高齢、汎血球減少、低アルブミン血症、末梢神経障害などがあります。
 治癒することはほぼなく、症状のない場合には未治療で経過観察すべきであるとされています(Ghobrial IM, et al. Lance Oncol 4: 679, 2003)症状がある場合には次に挙げる治療が施行されます。効果判定については非ホジキンリンパ腫の効果判定を当てはめるのは困難であり(Mタンパクが存在するため)、International Workshop(2006)の判定基準が使用されます(Kimby E, et al. Clin Lymphoma Myeloma 6: 380, 2006)。
治療法を概説します。
(1)アルキル化剤を中心とした化学療法
 クロラムブシル、メルファラン、シクロフォスファミドなどの経口アルキル化剤による治療が標準的治療とされてます。有効率としてはおおよそ50%ですが、完全寛解が得られることは稀であり、有効であった場合にその中止時期の判断も難しい治療法です。ステロイド剤を併用しても効果に変わりはありませんが、自己免疫疾患が合併している場合には有効です。これらの薬剤に加えてアントラサイクリン系、ビンカアルカロイド、ニトロソウレアを併用した化学療法の検討も行われていますが、その有用性は明らかにされていません。 このアルキル化剤が長期間に渡って使用された場合には二次性の骨髄異形成症候群、急性白血病のリスクが高まります。(Annibali O, et al. Cancer 103: 582,2005) 。
(2)プリンアナログを中心とした化学療法
 プリンアナログであるフルダラビン、クラドリビンを中心とした化学療法も施行されております。有症状、未治療WM 118例に対してフルダラビンを投与したところ、50%以上のIgMの減少が40%の症例に認め(完全寛解 3例)。効果発現までの期間は2.8ヶ月、無進行生存期間中央値は43ヶ月、生存期間中央値は84ヶ月と報告されています(Dhodapkar MV, et al. Semin Oncol 30: 220, 2003)。治療終了後もMタンパク減少が続くことが認められており、プリンアナログの免疫抑制作用によるものと推定されています。しかしながらリンパ球減少が著明となるため、特に日和見感染症の併発に注意を要します。
サルベージ療法としてのフルダラビンとシクロフォスファミド、ドキソルビシンおよびプレドニン併用療法の比較試験では、有効率はそれぞれ28%および11%とフルダラビンが優れた効果を示しております(効果持続期間も延長)(Leblond V, et al. Blood 98: 2640,2001)。
(3)抗体療法(抗CD20抗体リツキシマブ)
 LPL/WMの腫瘍細胞はCD20陽性(形質細胞に近く分化するとCD20発現は減弱しますが)であり、リツキシマブ治療の効果が期待できます。未治療例34例、既治療例35例に対するリツキシマブ治療ではIgMの50%以上減少はそれぞれ35%および20%、効果持続期間中央値は27ヶ月、効果発現期間は緩やかで3ヶ月以上と報告されました(GertzMA, et al. Leuk Lymphoma 45: 2047, 2004)。IgMが6,000mg/dl以上の症例では効果は乏しいとされています。
(4)多剤併用化学療法(リツキシマブ併用も含む)
 LPL/WMに有効なアルキル化剤とクラドリビン、フルダラビンあるいはリツキシマブを併用することにより有効率を高めようとする試みもなされております。37例の未治療WMに大してシクロフォスファミドとクラドリビン併用療法を行ったところ、部分寛解以上を84%に認め、寛解持続期間中央値は36ヶ月と良好な成績が報告されています(WeberDM, et al. Semin Oncol 30: 243, 2003)。
(5)造血幹細胞移植
 自己造血幹細胞移植を併用した大量化学療法は治療抵抗性あるいは再発後のWMでその有効性が報告されています(Anagnostopoulos A, et al. Biol Blood MarrowTransplant 12: 845, 2006)。同種造血幹細胞移植の報告は少なく、移植が成功した場合には長期間の完全寛解が得られますが、治療関連死亡率が高いのが問題となります。骨髄破壊的骨髄前処置を用いた場合には移植後3年無進行生存率は31%であったものの非再発死亡率が32%と報告されております。非再発死亡率を減少させるために骨髄非破壊的前処置を用いた移植(いわゆるミニ移植)が施行され、良好な成績が報告されております(Ueda T, et al. Bone Marrow Transplant 28: 609, 2001)(Treon SP,et al. Cancer Treat Res 142: 211, 2008)。
(6)ボルテミゾミブ
多発性骨髄腫に適応をもつボルテミゾミブをLPL/WM10例(再発ならびに治療抵抗例)に対して投与したところ、6例に部分寛解が得られ、その再増悪するまでの期間が11ヶ月と報告されています(Dimopoulos MA, et al. Haematologica 90: 1655, 2005)。
(7)サリドマイド・レナリドマイド
 多発性骨髄腫に適応となっているサリドマイドならびに本邦では未発売であるサリドマイド誘導体であるレナリドマイドは単独あるいはデキサメタゾン、リツキシマブを併用することにより優れた成績が報告されております。
----------------------------------------------

« 【治療事例】定期的なDFPPの長期継続によって過粘稠度症候群をcontrolしている原発性マクログロブリン血症の1例 | トップページ | 【雑感】いろんなバイアス~成功者の自伝は成功者にしか書けない~ »

情報」カテゴリの記事

コメント

専門家でも、間違えるんだぁ。
"Waldenstrom's marcroglobulinemia"と何回も出てきたので、
私の記憶違い?と思ったのですが、"R"が余計。
"Waldenstrom's macroglobulinemia"ですよね。

>koharuさん

 字数が多いのに,よくぞ,気が付かれました。
 忙しい医師がWebサイト構築をやっているとも思えないので,バイト君の仕事でしょう。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/501370/46045598

この記事へのトラックバック一覧です: 【情報】「原発性マクログロブリン血症とは」最新?版:

« 【治療事例】定期的なDFPPの長期継続によって過粘稠度症候群をcontrolしている原発性マクログロブリン血症の1例 | トップページ | 【雑感】いろんなバイアス~成功者の自伝は成功者にしか書けない~ »

重要情報ピックアップ

無料ブログはココログ